☠状態異常だけど☠

ばっちり慢性化したパニック障害を抱えた腐女子の日記。好き勝手に語りたいことを書き連ねます。

OTGW感想

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前の記事から時間が空きましたが、生きてました。

いまいち調子の悪い日が続いてお絵描きさえ出来ず…。

不健康にも程がある。

 

さて、気を取り直して。

カートゥーンネットワークのハロウィン特集で放送した

『オーバー・ザ・ガーデンウォール(OVER THE GARDEN WALL)』を観ました。

寝込んだりしている間に半月経っちゃったな…。

時間の流れ怖い。

 

絵はワートとグレッグ兄弟。

トゥーン風に描ける画力がないので、コレジャナイ感満載ですが。

あと、この作品の魅力である「説明出来ないけど不気味」感が

出てなくて無念。

 

このアニメは是非とも前知識なしで観て欲しいので

記事は畳んでおきますので、

ネタバレ、素人の考察がOKの方のみ続きをクリックして下さい。

 

 

さて。

この物語は平たく言うと、兄弟の「臨死体験」ということで良いかと思います。

ただ、これはボーッと観ていると最後の方まで分からない仕掛け。

一挙放送の時に観た時は

途中まで

「神隠しで迷子になった兄弟が死への誘いから逃げる物語」

だと思っていました。

 

うちの母は2章目のカボチャの時点で「何?臨死体験?」と言っていました。

カボチャ=ハロウィン=向こうの彼岸的なもの、だからだと思われます。多分。

さすがサスペンスの犯人を的中させる観察眼。

 

欧米の民話などを根底に敷くこの物語は

私達でいうところのDNAレベルで知っている昔話欧米版を知らないと

ピンと来ない部分も多い様で、私も「あれはどういうことだったんだろう」と

今でも分からないシーンも多くあります。

 

なので、分かる範囲で考察もどきを。

 

ワート(兄)とグレッグ(弟)は、現実で10月末の川に落ち、臨死体験をしている、と

思われるのですが、

個人的に気になるシーンは

「グレッグがものを食べるシーンはあるのにワートは食べていない」こと。

ワートが唯一口に入れたのは泥でしたし。

 

「あちらの世界のものを食べると、戻れなくなる」というのがありますが

(アドベンチャータイムにもそんなシーンがあるので海外にもある概念かと)

グレッグは小さいので「肉体的に死に近い」ことの表現なのかと

勝手に感じています。

 

精神的にまいってビーストに囚われそうになるのは

センチな高校生であるワートですが、肉体が死ぬには少し猶予がある。

しかし、小学校に入ったばかりぐらいの年齢のグレッグは

冷たい川に落ちて、このままでは危険度が大きい。と。

 

ただ、二人は辛くもその危険から知らずに逃れています。

死者の村から上手く逃れ、

大きな屋敷でゴタゴタの解決の礼として貰った2セントは

グレッグが投げ捨ててしまいました。

 

グレッグが捨てた2セントは恐らく日本で言う「三途の川の渡し賃」

ギリシア神話の三途の川に該当するのは冥府のステュクス川。

この川を渡る際、渡し守に口に死者は口で咥えたコインを渡すとされ、

棺桶にコインを入れる風習があった様です。

 

だから兄弟は川を渡るのに「2セント」必要だったのでしょう。

二人だから、2セント。

 

グレッグがお手柄なんかあげてないのに、と捨ててしまったコインは

持って行かなくて正解ってことです。

 

実際、この後二人は川を渡っていますよね。

あぶねぇ!セーフ!

 

しかし、2セントの死亡フラグをなんとか回避した兄弟でしたが、

寒さと絶望が二人を襲いました。

 

後半で、兄弟が樹の根本で眠るシーンがあります。

ベアトリスが魔女(?)の元に自分達を連れて行こうとしていたことが発覚し、

絶望感に囚われたワートがエーデルウッドの樹に包まれ始める

その横で、星に願ったグレッグは天使に連れられ雲の世界へ。

 

…ヤバいですよね。

ビーストに囚われかけている兄貴もヤバいですが、

グレッグは本当に死んでしまいそう。

雲の国とか言ってますけど、完全に彼岸の向こうっぽいです。

 

しかも、そこの女王様にグレッグが願うのは

台詞ではありませんが、ビーストに囚われた兄の身代わりになること。

 

願い通りにワートは目を覚まし、自力で樹から抜け出しますが、

自分はビーストに誘われ死の淵へ…。

 

ちなみに、先程の川の考察に少し戻りますが、

この絶望の中の眠りの前にも兄弟は川を渡っています。

ギリシア神話によると冥府の川は五つ

兄弟は、現実で川に落ち、木こりの小屋でひとつ小川を渡り、

カエルの船でもうひとつ。そして、眠る直前に渡った川。

 

いかん…!四つ渡ってる!!

 

あと一つ、残るはコキュートス。

これは「ダンテの神曲」によると、冥府の最下層にあり、

かつ、川というより「凍った湖」として描かれているそうで。

 

…ワートがエーデルウッドの樹を自分で千切って

グレッグを探し回った場所。

「凍った湖」でしたね。

それに気付かずに氷で滑って、さらには落ちてしまいました。

兄貴の方も肉体的に限界ってことでしょうか。大ピンチ!

 

あとの詳細は是非ともアニメで観て欲しいのですが、

兄弟はその死や冥府の誘いを振り切って、現実世界で覚醒することが出来ました。

 

つまり、私の結論としてはOTGWの物語は

臨死体験中の兄弟が知らず知らずの内に冥府へと近付いてしまうが

弟の思い遣りと、兄の振り絞った勇気と機転で何とか生還する話。

 

庭園の壁の向こうは皆「死後の世界」。

人間に戻ったベアトリスとワート達の時代が合わなそうなのは

冥府に迷い込む人間は時間とか関係ない為かと思われます。

 

木こりの娘が戻ってきたことへの疑問は母の説を。

「木こりも死んだから娘に会えたんじゃない」と。

待って…!

それって、大団円に見せつつ、実は木こりさんは死んだってことじゃん。

でも、納得してしまいました。

ビーストにさらわれた娘は既にエーデルウッドの糧になり、

生と死の狭間でランタン守をしていた木こりさんも、あの後、または

何年後かは分かりませんが、亡くなったことで

娘に会えた、と。

 

ベアトリスも青い鳥の呪いは解けたけど兄弟とは時代が違いそうなので

生きていたとしても兄弟との再会は難しそうですね。

 

…オォウ…、ハッピーエンドに見せかけて

メリーバッドエンドかも知れないじゃん。

 

兄弟は生還したからハッピーエンドと言えなくもないけども。

 

今回の考察は一例ということで。

単に背景美術の美しさでも見入ってしまうアニメなので

多くの方に観て頂きたい作品でした。